百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

本の紹介

彼岸の図書館

彼岸の図書館 ぼくたちの「移住」のかたち 青木真平・海青子 夕書房 「移住」に関心がある。いま住んでいるところに未練が全くないわけではない。いま、この場所でできることをする、という考え方も理解できる。しかしその一方で、場所を限定せず、制約を設…

数学の贈り物

数学の贈り物/森田真生 ミシマ社 単に「独立研究者」や「数学者」などの肩書を見ただけでは、興味を持たなかったかもしれない。彼に関心をもったのは、彼が私とほぼ同年代(やや若いくらい)で、斬新な講演などライブ活動を行っていて、かつ本書が、私の好き…

二宮尊徳の経営学

二宮尊徳の経営学/童門冬二 PHP研究所 通っていた小学校の校庭に、二宮金次郎の銅像があった。確か。薪かなにかを背負いながら、本を読みながら歩いている姿だ。労働をしながら勉強し、学んでいった、その姿勢を見習うべし、と教えられた、と思う。 二宮金次…

視点という教養

視点という教養 世界の見方が変わる7つの対話/深井龍之介 野村高文 イースト・プレス 「教養」とか、「リベラルアーツ」とか、そういった言葉を意識するようになったのは、比較的最近のことだ。大学時代は専門課程だけでなく教養課程も学んでいたけれど、そ…

聴竹居

聴竹居 藤井厚二の木造モダニズム建築 松隈章 写真・古川泰造 平凡社 どこか美術館に行った時だったか、何かの展示会に行った時だったか、売店で売っていたのを見て買ったのを覚えている。何の展示だったかは忘れてしまった。木造平屋の住宅のその佇まいに惚…

私の身体は頭がいい

私の身体は頭がいい/内田樹 文春文庫 千葉の市川から自由が丘に引っ越す決断ができたのは、自分でクライアントとなって設計してもらった住宅に住むという長年の夢が叶うチャンスだったから、というのももちろんあるけれど、付け加えて、新居が駅から少し離れ…

地球に靴で乗る

地球に靴で乗る/小檜山貴裕他 ループ舎 靴を履いて外を歩くということは、靴を介して地球の上に乗ることだ。足を危険な物から保護しながら、地球を踏みしめさせてくれる。そう捉える視点を得てから、靴に対する見方も変わった。小学生の時、かかとをつぶし、…

その本は

その本は/又吉直樹 ヨシタケシンスケ ポプラ社 又吉直樹には三つの顔がある。一つはお笑い芸人。一つは読書家。もう一つは作家だ。これは私の独断だけれど、たぶん同じように感じている人は多いと思っている。 その三つの顔がごちゃまぜになって、多動力をも…

職業としての学問

職業としての学問/マックス・ウェーバー著 三浦展訳 プレジデント社 大学職員をしている仕事柄、学生に触れることが多い。夜も遅くまで自習室にこもり、静かに勉強をしている。そういう学生がたくさんいて(自分も学生時代はそれなりに学習していたと振り返…

希望はいつも当たり前の言葉で語られる

希望はいつも当たり前の言葉で語られる/白井明大 草思社 自分に気づきを与えてくれた言葉。勇気をくれた言葉。これまで生きてきて、そのような言葉にたくさん出会っているはずなのに、具体的に挙げよ、と言われるとなかなか頭に浮かばないから困ったものだ。…

いのちの居場所

いのちの居場所/稲葉俊郎 扶桑社 自分が生きている身のまわりや、自分の命、身体について、根源的な視点で考える本を、無意識のうちに欲していたように思う。ウイルスのまん延に気が滅入り、どうにかこの苦しい状況に打ち勝とうと思っていたけれど、ウイルス…

言葉はこうして生き残った

言葉はこうして生き残った/河野通和 ミシマ社 一週間に一度、ある程度の量のテキストを書き、自身の想いをつづる。それを定期的に発信し続ける。そんなルーティンに憧れたのは、本屋を始めたころだ。ただ本を売るだけでは絶対に生きていけないから、その本に…

土になる

土になる/坂口恭平 文藝春秋 「職業は〇〇。だから私は■■の専門家です」と一言で言えるような人間ではなく、もっと幅広く、奥行きのある人間になりたいと強く思うようになったのは、社会人になってからだと思う。昔は逆で、何か一つ秀でたものが欲しかったの…

アァルトの椅子と小さな家

アァルトの椅子と小さな家/堀井和子 河出文庫 下北沢のBOOKSHOP TRAVELLERで古本を漁っていて、目に入った本がある。たくさんの本が並ぶ新刊書店に行ったのでは、きっと目につかないであろう文庫本。そういう予期せぬ本に出会う可能性が高いと感じるのが、セ…

人と料理

人と料理/馬場わかな アノニマ・スタジオ 料理なんて絶対にできないまま大人になると思っていたから、独り暮らしをしている時も、外食が多かった。多少自炊するようになった、と言っても、せいぜいがお米を炊いて、パスタをゆでて、カレールーを溶かして、と…

住宅読本

住宅読本/中村好文 新潮社 勉強して仕事に生かそうという意気込みがあったから、建築関係の本は多少高くても頑張って買っていた。割と高価な本が多く、ホントに読者泣かせだよなぁと思いながら読んでいた。中村好文の「住宅巡礼」「続・住宅巡礼」そして「住…

幸福論

詩集 幸福論/若松英輔 亜紀書房 若松英輔の詩集のなかでも、特にタイトルと詩の内容との強烈な結びつきを感じた1冊。自分にとっての「幸福論」とは何かということが、冒頭の4つの詩を読んで心に刻まれたように感じた。「余白」「多忙な人」「幸福論」「鞭を…

愛について

詩集 愛について/若松英輔 亜紀書房 表紙の赤がぐっと目に飛び込んできて、いろいろなものを想起させる。太陽。花。血。心臓。その赤をイメージしながらページをめくると、言葉に宿る赤い世界に、はっとする。言葉と印象が強烈に結びついて、心臓を震わす瞬…

見えない涙

詩集 見えない涙/若松英輔 亜紀書房 「詩」を読むことについては昔からずっと苦手意識のようなものがあって、なかなか味わえないように感じていた。その言葉が訴えかけてくるメッセージをきちんと受け止めきれずに、取りこぼしているような気が常にしている…

官房長官と幹事長

官房長官と幹事長/橋本五郎 青春出版社 前職で所属していた協会の法定研修で、橋本五郎の講演を聞いたことがあった。日本テレビのニュース番組でおなじみの、読売新聞の編集委員。優しい顔つきの五郎さんの生の話に耳を傾けながら、全く関心を持てなかった政…

「新しい郊外」の家

「新しい郊外」の家/馬場正尊 太田出版 都内に住んでいると、その便利さが当たり前になって、遠く離れたところで暮らすなんて無理、面倒臭いし不便だし、なんて気持ちになることがある。しかし昔はその「面倒くさい」「不便」が当たり前だった。そういう場所…

すべての雑貨

すべての雑貨/三品輝起 夏葉社 「あたなが好きと言っている本は、本じゃなくて、雑貨じゃないの?」そう言われるシーンを想像する。ろくに読みもしないのに本棚に並べて、リビングでその背表紙が常に見える状態にして、それだけで悦に入っている。何か雰囲気…

東京の美しい本屋さん

東京の美しい本屋さん/田村美葉 エクスナレッジ 都内に住んでいるので、ちょっと本屋へ行こうと思ったときの行先は自ずと、都内の本屋になる。とはいえ、人が多いところは昔から苦手でいまだに慣れないので、行く場所は限られる。あ、これ良さそう、と思った…

世界の夢の本屋さん3

世界の夢の本屋さん3/清水玲奈 エクスナレッジ ピースの又吉直樹が一番好きな本屋はどこかと聞かれて「おべんちゃらでなく、全部好きかも」と言っていて、本好きの器量の大きさに驚いた。海外旅行に行っても必ず現地の本屋に行く。照明の感じが良いとか、本…

世界の夢の本屋さん2

世界の夢の本屋さん2/清水玲奈 エクスナレッジ 海外の美しい本屋さんが集まる「世界の夢の本屋さん」。パート2はロンドン、パリのほか、東京や北京、リオデジャネイロの本屋さんも収録されている。日本の本屋さんも、キレイなんだなぁと感じる。 日本からは…

世界の夢の本屋さん

世界の夢の本屋さん エクスナレッジ 一時期、いろいろな本屋さんに行きたいと思っていた。世の中には行ったことのない楽しそうな本屋さんがたくさんある。大型書店も良いし、街の小さい本屋さんも良いけれど、それだけでは見つからないような本に出会えるか…

正直

正直/松浦弥太郎 河出書房新社 自分の気持ちに正直に、素直に行動しよう。自営業を始めるにあたって、そう決意した。もちろん、いままで嘘で自分を塗り固めていたというわけではないけれど、会社員である以上、自分の考えが通らないこともあった。もっとこう…

「死」が教えてくれた幸せの本質

「死」が教えてくれた幸せの本質 二千万人を看取った医師から不安や後悔を抱えている人へのメッセージ/船戸崇史 ユサブル 8年くらい前だったか。祖母の死に立ち会った。身近な家族の死に直面したのは記憶の限りで初めてだったから、うろたえるだろうと思って…

サステイナブルに家を建てる

サステイナブルに家を建てる/服部雄一郎 服部麻子 アノニマ・スタジオ 久しぶりに心から「読みたい!」と思って購入。「サステイナブルに暮らしたい」の著者による、オリジナルな家づくりを綴ったエッセイ。写真から、テキストから、自然素材の家のような温…

アマチュア論。

アマチュア論。/勢古浩爾 ミシマ社 プロであることに憧れ、プロであろうとしていたのは、社会人になりたての頃のこと。「プロ論」という本をむさぼるように読み、社会人になったからには、その道のプロになるべきだ、でないと堂々とお金を稼ぐことができない…