百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

本の紹介

店主所有の愛する本や新刊本を、それにまつわる話と一緒に贈ります。
新着順 人気順

ぜんぶやりたいまにちゃん

ぜんぶやりたいまにちゃん/作:くどうれいん 絵:及川賢治 Gakken 仕事に対する価値観には割と不規則な波があって、どの時期にどう考えていたか、よく覚えていないのだけれど、決して短くない一時期、「一つの職業に専念する職人肌の仕事人」に憧れていた。例…

ぼくのおやつ地図

ぼくのおやつ地図/岡本仁 平凡社 自由が丘にエリオントという小さいパン屋があって、そのすぐ近くに住んでいた頃、通っていた。ひいきにしている、と言ったら大げさだけれど、そういっても過言ではないくらい、大好きなパン屋だ。サンドイッチとクリームパン…

【増補版】言葉の贈り物

【増補版】言葉の贈り物/若松英輔 亜紀書房 自分にとって本を読むとはどういうことか。その問いに対する自分なりの答えを私は、この本を読んで得た。それ以来この本は、私と読書との関係を築く大切な一冊になった。特に何度も繰り返し読んでいる「自己への信…

贈り物の本

贈り物の本/牟田都子 編 亜紀書房 新卒で入社した建設会社を6年で退職した時、部署の仲間から餞別としてボールペンをもらった。重くて太い、シェーファーのボールペンだ。当時、仕事で字を書く時のボールペンなんてなんだっていい、くらいの感覚だったから、…

肯定からあなたの物語は始まる

肯定からあなたの物語は始まる 視点が変わるヒント/稲葉俊郎 講談社 明日はもう大晦日。そんな年の瀬ギリギリに、「今年はこの本に出会うために読書をしてきたのかもしれない」と思わされるような本を手に取った。大好きな稲葉俊郎さんの最新刊だ。 いまの自…

恋するクッキー缶図鑑

愛でたい。贈りたい。恋するクッキー缶図鑑/坂井勇気太朗 パイ インターナショナル クッキー缶に、言葉で表現し得ない魅力を感じている。何になのだろうか。クッキーの美味しさ、幸福感かというと、それだけではないのは間違いない。ではそれを包んでいる箱…

老いのレッスン

内田樹/老いのレッスン 大和書房 老いというものを、自分には関係ない話(もしくは遠い未来の話)ととらえていた自分を、改めるようになったのは、内田樹さんの本を読んでからのことだった。ずいぶん先かもしれないけれど、(すぐに死なない限りは)いずれや…

「ふつう」の私たちが、誰かの人権を奪うとき

「ふつう」の私たちが、誰かの人権を奪うとき 声なき声に耳を傾ける30の物語/著:チェ・ウンスク 訳:金みんじょん 平凡社韓国の国家人権委員会調査官として働く著者がこれまでに会った、人権侵害と闘う陳情人とのやりとりを描いたノンフィクション。 登場す…

くじら図書館

くじら図書館/作:ジドル― 絵:ユディット・ファニステンダール 訳:川野夏実 小さい書房 深い海の底に10万歳のくじらがすんでいた。そのくじらの微笑みの奥には、世界で一番大きな図書館が隠されていた。一方、一般的には知られていない「海の郵便配達人」…

建築と利他

建築と利他/堀部安嗣・中島岳志 ミシマ社 大学で建築を学び、社会人になってから15年ほど、建築をつくる仕事をしていた。第一線で「設計をする」ことはかなわなかったけれど、別の立場で、住宅を中心に供給することに貢献できたと思っている。ただ建築家と呼…

本がきらい 本がすき

本がきらい 本がすき/作・絵:マリアホ・イルストゥラホ 訳:小川紗良 アノニマ・スタジオ 出店時のお客さんとの会話の中で、小さいころにどれくらい本を読んでいたのか、という話題になることがけっこうある。その都度、多少の後悔の念も含めて話すのだけれ…

自分にやさしくする生き方

自分にやさしくする生き方/伊藤絵美 筑摩書房 本屋に行って、特に一番目立つ平台に並んでいる本を見ると、その時の社会の様子がうっすらと分かる。つまり平台はその時の社会の縮図である。私はそう思っている。「他人をケアする」「自分を守る」そういった「…

パトリックと本を読む

パトリックと本を読む 絶望から立ち上がるための読書会/ミシェル・クオ 神田由布子訳 白水社 定期便を購読してくださっているクライアントに、最近読んだ本でこれは特に面白かった、と紹介してもらったのが本書だ。そのような紹介がなかったら、おそらく興味…

身体の言い分

身体の言い分/内田樹 池上六朗 毎日新聞出版 内田樹の「他の人の予測できない行動を勘定に入れて、自分の行動を決めようなんて無理だよ」という話が好きだ。10~15人ほどの受け入れ人数のゼミに80人ほどの応募があり、学生から「私は上位15位に入っているで…

日記の練習

日記の練習/くどうれいん NHK出版 日記を書くという習慣に憧れをもつようになったのは、たぶん社会人になってから。子どもの頃は、出来ると思っていなかったし、全然書きたいとも思っていなかった。実家で母が毎日手帳に日記を書いているのを見て、すごいな…

感情の海を泳ぎ、言葉と出会う

久しぶりに、長く傍らに置いておきたい本に出会った。ようやく他者に伝える言葉が自分に宿ったので、紹介します。 文学研究者である著者による、「よい文章とは何か」を考えるエッセイ集。「よい文章を書くための入門書」ではなく、ましてや「技術書」「指南…

声の地層

声の地層 災禍と痛みを語ること/瀬尾夏美 生きのびるブックス 「そういえば今日は9・11ですね。当日、なにしていました?」9月11日にそう聞かれ、23年前をふと思い出した。高校時代、毎朝早く起きて(剣道部だった)素振りをすることを自分に課していた。早…

ガザとは何か

ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義/岡真理 大和書房 「自分に解決できない問題は、自分の目の前に現れない」そういった言葉を自己啓発本かなにかで知って、その通りなのだと思っていた。裏を返せば、自分に降りかかってくる問題はすべて、自分の…

暗闇の効用

暗闇の効用/ヨハン・エクレフ 永盛鷹司 訳 太田出版 タイトルに惹かれ、購入。ジャケット買いならぬ、タイトル買いは、久しぶりのこと。 「静寂」と並んで、今の社会を穏やかに、かつ強かに生きるために必要なことを示唆する言葉が「暗闇」だと思っている。…

眠れないあなたに

眠れないあなたに おだやかな心をつくる処方箋/松浦弥太郎 小学館 嫌なことがあって、心に傷がつき、眠れないと感じる日はありますか。憂鬱なことが控えていて、不安に押しつぶされてとても寝る気になれない日はありますか。きっと多かれ少なかれ、皆そうし…

ともしび

ともしび/junaida サンリード junaida 待望の新刊はオリジナル詩画集。鉛筆だけで描かれたモノクロのイラストに、詩が一篇、添えられている。1ページ見開きで1編ずつとなっているので、どのページから読んでも楽しめる。 junaidaのこれまでの画に見るような…

世界

世界/junaida 福音館書店 自分という一人の人間が、生まれて、生きて、果てるまでの間には、膨大な時間が流れていて、膨大な人間同士の交流があって、膨大な数の物語がある。当事者の目線で、目の前のことだけに一生懸命でいたら、つい見落としてしまいそう…

ぼくのコーヒー地図

ぼくのコーヒー地図/岡本仁 平凡社 コーヒーが好きだ。だから、コーヒーを飲みながらくつろぐ時間だけは、どんなに忙しくても、欲しい時に必ず確保できるようでありたいと思っている。ただよくよく考えたら、コーヒーそのものが好きというより、コーヒーブレ…

つくる人になるために

つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡/光嶋裕介 青木真兵 灯光舎 今月は、自分の裁量でやることを決められる日が比較的多い。自営業を始めてから、そのような日のことをオフと呼んでいる。勤めがなく、店番や出張、本の入れ替え等のための外出…

ロゴスと巻貝

ロゴスと巻貝/小津夜景 アノニマ・スタジオ 自宅近くの本屋2軒に置いていなくて、他の書店を探したけれどそれでも見つからなくて、新刊でもこういうことってあるんだ、と肩を落としながら数日を過ごした。職場の近くである神保町で見つけた時に買っておくべ…

詩集 ことばのきせき

詩集 ことばのきせき/若松英輔 亜紀書房 自分の口から出る言葉にもっと意識を向けて、丁寧に話をしよう、と思っている。それは、どういった言葉を選ぶかだけでなく、声のトーン、速さ、強弱、間という要素も関わってくる。口をついて出た言葉は、その鋭さに…

トミドロン

トミイマサコ作品集 トミドロン/トミイマサコ パイ・インターナショナル イラストレーター・トミイマサコの作品集。活動初期から近年までのオリジナルイラスト、お仕事イラストを中心に一冊に凝縮している。 デジタルな風合いのイラストの中であっても、登場…

ゆきのゆきちゃん

ゆきのゆきちゃん/きくちちき ミシマ社 可愛らしい猫が登場する冬の傑作絵本が誕生しました。 「わたし ゆきちゃん」「ゆきちゃん」という名前の猫が、なんで雪と同じ名前か知っている?と友達に尋ねる。友達がそれに答えながら、「うれしくなって」雪の中を…

ことばのくすり

ことばのくすり 感性を磨き、不安を和らげる33篇/稲葉俊郎 大和書房 「ことば」には2種類の性格のものがあると思っている。薬になることばと、毒になる言葉だ。 今、主にSNSを通じてあふれ出る情報を好きなだけ受け取ることができる。ほんの20年前には想像も…

英国本屋めぐり

英国本屋めぐり ー本と本を愛する人に出会う旅/著:ルイーズ・ボランド 訳:ユウコ・ペリー サウザンブック社 異国を旅するということに対してあまりワクワクしない自分は、きっと大人としての情緒を持ち合わせていないのだと思う。新しいものを見てまわって…