百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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共鳴する本

2冊の本を読んだらこういう知見が得られた、とか、意外な共通点があって持論が強化された、とか。そんな読書体験があったっていい。

日記

日記の練習/くどうれいん NHK出版 私運転日記/大崎清夏 twililight 中学生くらいの頃からだろうか。どうやって書いたらいいかロクに勉強もしていないのに、ただ書くことばかりを課される。作文というものがだから私はとにかく嫌いで、原稿用紙(20マス×20行…

本が読めない

本を読めなくなった人のための読書論/若松英輔 亜紀書房 読み終わらない本/若松英輔 KADOKAWA 幸運なことに、と言ったら良いのか、おかげさまで、と言ったら良いのか。「最近本が読めなくなった」と自分自身を嘆かわしく感じたことは、ほぼない。「それくら…

言葉の使い方

感情の海を泳ぎ、言葉と出会う/荒井裕樹 教育評論社 口の立つやつが勝つってことでいいのか/頭木弘樹 青土社 言葉がこぼれ落ちる。そんな表現がぴったりだと思う。本当は昔からだったのかもしれないけれど、最近特に感じる。自分の「弱さ」「甘さ」「情けな…

日常から非日常へ

霞を食べ、光を飲む/小林ひかり 水晶体に映る記憶/小林ひかり ある本屋仲間(この方との出会いもなかなかに不思議で、刺激的なものなのです)の紹介で知った作家さんが、二作目のオリジナルZINE「霞を食べ、光を飲む」を発表した。「自身が思うほんとうのこ…

そもそも危機にたどり着かない

グラップラー刃牙/板垣恵介 秋田書店 修業論/内田樹 光文社 武道の最終目的は、どんな敵も倒すことができる強さを身につけることではない。本当に武道を究めた人は、そもそも危機にたどり着かない。そのような境地があるということを最初に知ったのは、実は…

目の前のことを。身近なことを。

砂漠/伊坂幸太郎 実業之日本社 平熱のまま、この世界に熱狂したい/宮崎智之 筑摩書房 宮崎智之さんのエッセイに出会った。「平熱のまま、この世界に熱狂したい」の文庫版で、だ。また好きなエッセイストが一人増えた。 酒浸りの著者による素直すぎるくらい素…

降り積もる言葉/積み重なる言葉

声の地層 災禍と痛みを語ること/瀬尾夏美 生き延びるブックス まとまらない言葉を生きる/荒井裕樹 柏書房 言葉には「積み重なる」とか「降り積もる」といった性質がある。そのことを最近、特に感じる。その言葉を簡単にイメージする一つの比喩として、「地層…

他者に向ける言葉と自分に向く言葉

いのちの居場所/稲葉俊郎 扶桑社 武道的思考/内田樹 筑摩書房 普段から言葉は丁寧に選んで、慎重に発するようにしよう、と心掛けている。実際の日常生活でどれだけ意識できているか、振り返ると微妙なのだけれど、つい乱暴な言葉を発してしまうから、本当に…

自分の身体を大切に。元気でいられることに誇りを。

いのちを呼びさますもの/稲葉俊郎 アノニマ・スタジオ 詩集 ことばのきせき/若松英輔 亜紀書房 THE YELLOW MONKEYの東京ドーム公演を観た。喉頭がんを患い、そこから復活した吉井和哉さんが歌うことができるのか、実は不安で仕方なかった。しかしそれは杞憂…

底抜けに前向き

ゆきのゆきちゃん/きくちちき ミシマ社 きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ/荒井良二 NHK出版 3月は卒業、別れの季節。そして4月は入学、進学、新任、出会いの季節。私自身、そういった年度末・年度始まりの節目があいまいになって、いつも通りの日々…

自分の身体を大切に

完璧になれない。だからいい 心が軽くなるヘミン和尚のことば/ヘミン・スニム著 おおせこのりこ訳 アノニマ・スタジオ ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方/マイク・ヴァイキング ニコライ バーグマン解説 アーヴィン香苗訳 親を亡くして初めて親の…

心からの言葉、届く言葉

詩集 ことばのきせき/若松英輔 亜紀書房 街場の文体論/内田樹 ミシマ社 詩集を読むことに対しては昔から、割と強い苦手意識があった。それはきっと、その詩が伝えようとしていることを、なんとしても読み取らなければならないという強迫観念があったからだと…

他人との関係で自分がいる

じゃむパンの日/赤染晶子 palmbooks まばゆい/僕のマリ 本屋lighthouse 年末に、これまでに出会った愛しい友人、知人のことを想う。素敵な人に、いろいろな人に少しずつ支えられながら、その結果として今の自分がいるということをかみしめている。 小学校に…

そういうことはあまり考えずに

お味噌知る。/土井善晴 土井光 世界文化社 イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由/猪田彰郎 アノニマ・スタジオ イベント出店で出会ったおしゃれなマダムと、料理家の土井善晴さんの話をした。彼女から、土井さんが家庭料理の専門家であること、そして、…

人は他人に頼られて強くなる

夏みかんの午後/永井宏 信陽堂 雲ができるまで/永井宏 信陽堂 美術作家・永井宏の文章を読んでいると、じんわりと心にやってくるものがある。それは「人は他人に頼られることで強くなる」ということだ。小説であれ、エッセイであれ、登場する人物は皆、日々…

「いつもありがとう」

探してるものはそう遠くはないのかもしれない/新井見枝香 秀和システム 松浦弥太郎随筆集 くちぶえサンドイッチ/松浦弥太郎 DAI-X出版 例えば、お気に入りのお店に通っている時。カフェでも、レストランでも、パン屋さんでも、服屋さんでも、何でもいい。そ…

天文学

この星で生きる理由 過去は新しく、未来はなつかしく/佐治晴夫 アノニマ・スタジオ 読書癖1/池澤夏樹 みすず書房 天文学と聞いて思い出すのは、大学で学びを放棄したこと。一般教養の授業であった「天文学」を、なんとなく興味があるからと受講したのだけれ…

人を救うのは医療ではなく言葉

悲しみの秘義/若松英輔 ナナロク社 いのちを呼びさますもの/稲葉俊郎 アノニマ・スタジオ 「死の床にある人、絶望の底にある人を救うことができるのは、医療ではなくて言葉である。」この言葉に出会って、ああ、「いのちを呼びさますもの」がきっかけで知っ…

即答すること

身体の言い分/内田樹 池上六朗 毎日新聞出版 即答力/松浦弥太郎 朝日新聞出版 場合にもよる、という曖昧な条件付きではあるが、なるべく「即答すること」を自分に課している。どんなに時間を費やして考えても結論は変わらないだろう、というなんとなくの感覚…

ハイよりロー、急がずゆっくり

はやくはやくっていわないで/作・益田ミリ 絵・平澤一平 ミシマ社 歩くはやさで/文・松本巌 絵・堺直子 小さい書房 このところ、「急がなくていいよ」「自分のペースで」というように、ゆっくりと前に進むことを優しく説く本が多い印象を受ける。それは今の…

自分で自分を運営するということ

もしわたしが「株式会社流山市」の人事部長だったら/手塚純子 木楽舎 松浦弥太郎の仕事術/松浦弥太郎 朝日新聞出版 昨年の夏、出版社の方に声をかけていただき、流鉄流山駅のすぐ隣で本を売る機会をいただいた。観光案内所兼コミュニティスペース「machimin…

手紙を書くことと、思考の時間をつくること

言葉を植えた人/若松英輔 亜紀書房 考えるコツ/松浦弥太郎 朝日新聞出版 文章を書くときは、ただひとりの相手に向かって手紙を書くような気持ちで。そのように教わって以来、読む相手を意識するようになった。それは、松浦弥太郎さんのエッセイに度々登場す…

共有すること

共有地をつくる わたしの「実践私有批判」/平川克美 ミシマ社 ぼくらの家。9つの住宅、9つの物語/光嶋裕介 世界文化社 子供がプラモデルで遊んでいる。親に買ってもらった大切なおもちゃだ。そこに友達がやってきて、「面白そう、ぼくにも貸してよ」と言う。…

夢の文房具屋

ボールペンとえんぴつのこと 銀座の小さな文具店/宇井野京子 木楽舎 エノグ屋の言葉集 月光荘のユーモアカードと色ポエム/月光荘 産業編集センター このブログで何度か書いているけれど、私にはひとつ実現させたい夢がある。それは「文房具屋」をつくること…

「大切なことは、続けること」

継続するコツ/坂口恭平 祥伝社 土になる/坂口恭平 文藝春秋 「大切なことは、続けること」この言葉を強く覚えているのは、意外にも、昔のTHE YELLOW MONKEYのドキュメンタリー映像でだ。ドラムの菊地英二が言っていたと記憶している。解散する前の言葉だった…

通勤電車で詩集、歌集を読む

オールアラウンドユー/木下龍也 ナナロク社 詩集 幸福論/若松英輔 亜紀書房 移動中の電車の中での過ごし方の話。いままでずっと、本を読んでいるのが一番楽な過ごし方だと思っていた。しかし、意外と集中して読むことができない。ため息をつきながら鞄にしま…

学びからの逃走、労働からの逃走

下流志向/内田樹 講談社 最終講義 生き延びるための七講/内田樹 文藝春秋 子どもが学校での勉強を意識的に避ける「学びからの逃走」が起きている。そしてそれと同じ地殻変動の帰結として、大人になってからの「労働からの逃走」がある。内田樹は15年くらい前…

コミュニケーション能力とは

街場の共同体論/内田樹 潮出版社 複雑化の教育論/内田樹 東洋館出版社 内田樹「街場の共同体論」を本棚から引っ張り出して久しぶりに読んでいる。しばらく前に少し読んで、さすがだなぁと思いながら、それでも本棚で他の「街場の〇〇論」と混じって読みきれ…

言葉にして、書くということ

雲ができるまで/永井宏 信陽堂 炉辺の風おと/梨木香歩 毎日新聞出版 エッセイが好きで、本棚に並んでいる本を分類していくと、エッセイが多いことに気づく。昔はむしろあまり好きではなかった。書き手の自分アピールが強くてツンと来ることが多かったからだ…

やさしい世界

アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 幻冬舎 マイクロスパイ・アンサンブル/伊坂幸太郎 幻冬舎 もう何年も前の話。当時よく行っていた自宅近くのパスタ屋さんで、ピザを注文した。何も特別なことはない、普段通りの光景。特に嫌なことがあったわけでも…