百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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アマチュア論。

マチュア論。/勢古浩爾 ミシマ社

 

プロであることに憧れ、プロであろうとしていたのは、社会人になりたての頃のこと。「プロ論」という本をむさぼるように読み、社会人になったからには、その道のプロになるべきだ、でないと堂々とお金を稼ぐことができない、と思っていた。プロの定義をよく自分自身で理解してもいなかったのに。いや、自分なりの定義はあった。「他人のために尽くして、対価としてお金をもらえる人」だ。自分に自信がないサービスでお金をもらうことはできない。だからきちんと技術を磨いて、堂々と良いサービスを提供する。そのために研鑽を積むべきだ、と思っていた。

 

「アマチュア論。」は、そんな「プロプロ」とうるさい、プロであるべき一辺倒主義に疑問を呈する。プロであると自認する人であっても、クライアントの価値観をまったく顧みない解決提案をしてきたり、方法を誤って逮捕されたりすることがある。だったら自分を「プロだプロだ」とむやみに言わない方がいいんじゃないか?最初こそ、プロでありえなかった自分に対する自己擁護かもしれないけれど、「アマチュアは悪くない」「せめてより良きアマチュアになりたい」という姿勢だって良いじゃないか。自分で自分のハードルを勝手にあげたりせず、「自分一身を律し、つねに成長しようと努力し、ひとと事に対してつねに誠実であろうとする人物」を目指したい。