百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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本の紹介

文にあたる

文にあたる/牟田都子 亜紀書房 平日は法科大学院で事務の仕事をしている。主に課外講座の運営をする事務室で、今月、司法試験と同様の日程で行う模擬試験がある。多くの受講者が集う人気講座だ。 問題文とその解説を、OBである実務法曹の方々につくっていた…

オーケストラ

世界の町で楽団員を探そう!オーケストラ/作・絵:クロエ・プラルノ 訳:うちださやこ 暮らしを彩る書籍を多数発行するアノニマ・スタジオから、美しくて面白い絵本の情報が届き、仕入れた。カバーのない素材感ある紙の表紙にそのまま描かれた、オーケストラ…

WHERE’S WARHOL?

WHEWE'S WARHOL?/作:Catherine Ingram 絵:Andrew Rae yack yack booksの絵本の定期便で届き、大切にしているのは、アンディ・ウォーホルを探す絵本。日本では「ウォーリーを探せ」が有名か。そのアンディ・ウォーホル版。 ニューヨークに実在したディスコS…

コンビニ店員からあだ名をつけられるか

100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか。ビスコをめぐるあたたかで小さな物語/与謝野 光文社 すさまじく長い題名の本。蔵の本屋で見つけてつい手に取った。単行本1冊のボリュームを半日で読み終えたのはずいぶん久しぶり…

かわいいことりちゃん

かわいいことりちゃん/作:コナツマキコ 絵:コナツコウイチ ニジノ絵本屋 正月、実家に帰省した時に、久しぶりに3歳の姪に会った。しばらく見ないうちに、と言っても1年くらいのことなのだけれど、大きく成長していて、驚いた。可愛らしい姪とのやりとりは…

パスタの本

パスタの本/細川亜衣 アノニマ・スタジオ 自分で料理をつくることは、独り暮らしを始めた頃に比べれば増えたのだろうけれど、それでも多くはない。たくさんつくれたら楽しいだろうなあと思っても、じゃあつくれるようにしよう、と実際に行動に移すまではして…

苦しかったときの話をしようか

苦しかったときの話をしようか/森岡 毅 ダイヤモンド社社会人になってから16年以上通い続けている美容院で、本好きのマスターからすすめられ、手に取った。USJの再建に貢献した経営者が、自身の娘に「働くことの本質」を伝えるための手紙だ。働くとはどうい…

2023年1月1日-まとまらない言葉を生きる

新年明けましておめでとうございます。今年も皆様にとって幸せの多い1年となることをお祈り申し上げます。 一昨年8月からスタートした本を扱う自営業。昨年で1年が経ち、2年目に入りました。たくさんの縁に恵まれたと感謝の気持ちでいっぱいである反面、当初…

読書と社会科学

読書と社会科学/内田義彦 岩波書店 黄色い表紙の岩波新書を新品で購入したのは、もしかしたら初めてかもしれない。わざわざネットショップで、送料を費やして買うなんて無粋だったかな。街の古本屋で探して買った方が良かったかな。買ってから後悔したけれど…

継続するコツ

継続するコツ/坂口恭平 祥伝社 本屋仲間(?)がSNSで紹介しているのを見て、久しぶりに「これは読まなきゃならない本じゃないか」と直感し、すぐに買った。建築家、作家、画家、など様々な顔をもつ著者による「継続するコツ」。2004年に初めて本を出版して…

TALK

TALK/The Worthless 絵:かげやましゅん ニジノ絵本屋 相模湖にある古民家カフェ「たねまめ」が主催するマルシェ「たねまめマルシェ」に初めて参加したのは数年前。落ち着いた場所にある古民家の庭に、たくさんの手づくり作家さんが集まった。そのたねまめマ…

OPEN

OPEN The Worthless ニジノ絵本屋 本にもう一つ何か別のものをくっつけて、セットにしたらどうだろう。そんな欠片のようなアイデアをもとに、あれこれ考えている。ただ本を単品で紹介してもなかなかうまくいかない。品揃えでは大型書店に到底かなわない。で…

アルヴァ・アールトの建築

アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール/小泉隆 学芸出版社 ブログ、ジョギングと並んで、毎日必ずやることとして「勉強」を掲げたのは先月のこと。一日10分でもいい。少しの時間であっても、必ず知識を得て考える時間をつくることを意識している…

砂漠

砂漠/伊坂幸太郎 実業之日本社 大学は、自分から進んで学ぶところである。だから勉強が嫌いではやっていけないし、そもそも入学するのが難しい。仮に何かの手違いで入学できたとしても、卒業するのはもっと難しい。勉強が好きで、高校までの勉強では物足りな…

富士山はいつ噴火するのか

富士山はいつ噴火するのか?火山のしくみとその不思議/萬年一剛 筑摩書房 中学生、高校生の時、理科の分野の中でも地学が好きだった。あまり周りに共感してもらえる気がしないのだけれど。岩石とか地層とかそういう話が特に大好きで、水を吸収するスポンジの…

きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ

きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ/荒井良二 NHK出版 著者の絵本を始めて知ったのは、本当につい最近のことだ。絵本の読み聞かせイベントがあって、そこで置いてあったのを見た。タイトルは忘れてしまったけれど、ぼんやりとした絵と、フリーハンドの…

通勤電車でよむ詩集

通勤電車でよむ詩集/小池昌代編著 NHK出版 平日は毎日電車に乗って通勤している。電車内では、本を読んで過ごすと決めている。なんでかと聞かれると、理由の半分以上はカッコつけなのだけれど、精神的な負担が少なくなる、という理由もある。 スマホを見たい…

最新版論文の教室

最新版論文の教室 レポートから卒論まで/戸田山和久 NHK出版 思い出すのは、大学入試。第一志望校の筆記試験を終え、残すは小論文のみとなった。これが終われば緊張から解放される。最後の力を振り絞って臨んだ小論文で私は、体中から汗と言う汗を全て出し切…

毎日のお味噌汁

毎日のお味噌汁/平山 由香 アノニマ・スタジオ 先日、久しぶりに自炊をしようと思い立った。とはいえ、さっと作れる主食と言ったら、ご飯を炊くことを除けば、カレーか、スパゲティをゆでるか、ラーメンをゆでるか、その程度だ。相変わらず料理のレパートリ…

オールアラウンドユー

オールアラウンドユー/木下龍也 ナナロク社 最高に美しい本。布張りに箔押しの文字。裏表紙にバーコードや定価表示などはなし(帯に記載)。胸ポケットにしまって持ち歩きたい、心臓に近い場所に隠しておきたい、そんな本だ。 歌人・木下龍也の第三歌集。123…

RIDE IN CAMBODIA

RIDE IN CAMBODIA/gregmo カンボジアの街を切り取るフォトグラファーの写真集を、クライアントからいただいた。バイクに乗った人たち。その荷台には、家畜や草、果物、タイヤ、鉄材などが。日本の道路ではとても見られないような光景が、まるで「これが当た…

ともだちは海のにおい

ともだちは海のにおい/工藤直子 長新太・絵 家族にすすめられて、仕入れた。詩人である著者による児童文学。出張本屋に持っていったら、いつも本を買ってくださる常連さんが、ものの10秒で「今日はこれ!」と手に取ってくださった。なんでも、小学校の頃の先…

仕事するのにオフィスはいらない

仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ/佐々木俊尚 光文社 オフィスに皆で集まって業務を行うことだけが仕事ではない。これからはひとつの場所に集まるだけでなく、一人一人がそれぞれの場所を持ち、自由に仕事をする時代だ。そのための…

「自分らしさ」はいらない

「自分らしさ」はいらない/松浦弥太郎 講談社 包丁の柄の部分をほとんど洗っていないことに気づいた。包丁に限らず、おたまも、鍋も、スプーンも。下手したら、箸も口をつける半分から先はよくこすっても、手で持つ半分は水ですすぐ程度。本当に汚れているの…

スーパーエッシャー展

スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡 数年前、学芸大学の古本屋さんで出会って、思わず手に取った。2006年にBunkamuraザ・ミュージアムで開かれた回顧展のカタログだ。クロス張りの装丁。タイトルを排除した表紙デザイン。そしてエイジング感。古本…

この星で生きる理由

この星で生きる理由 過去は新しく、未来はなつかしく/佐治晴夫 アノニマ・スタジオ 大学の時の話。建築学科だったので、建築系の専門科目は一生懸命学んだ一方、一般教養は、学ばなければならないという使命感はあったものの、それほど興味を持つことができ…

私の生活改善運動

私の生活改善運動/安達茉莉子 三輪舎 これほど自分の毎日の暮らしに寄り添ったエッセイを、しばらく読んでないなぁと思った。たいていのエッセイは、自分にない考え方に刺激を受けることはあっても、「そうそう、私もそう思う」と共感することはそれほど多く…

へいわとせんそう

へいわとせんそう/谷川俊太郎・文 Noritake・絵 争いが止まない今だから、余計に気になった。そう言われればそうなのだろう。ロシアとウクライナが争っていなかったら、私は手に取らなかったかもしれない。ただこの絵本は「海を越えた向こうで現に争いが起き…

明日、何を作ろう

明日、何を作ろう/松浦弥太郎 KADOKAWA 独り暮らしをしていた頃の食生活は、大きく3つの時期に分けられる。一つ目は、自分で作ることをせず、外食で済ませていた時期。二つ目は、自炊に目覚め、とはいえ料理はできないので、ゆでるだけのパスタやラーメン、…

彼岸の図書館

彼岸の図書館 ぼくたちの「移住」のかたち 青木真平・海青子 夕書房 「移住」に関心がある。いま住んでいるところに未練が全くないわけではない。いま、この場所でできることをする、という考え方も理解できる。しかしその一方で、場所を限定せず、制約を設…