人と料理/馬場わかな アノニマ・スタジオ
料理なんて絶対にできないまま大人になると思っていたから、独り暮らしをしている時も、外食が多かった。多少自炊するようになった、と言っても、せいぜいがお米を炊いて、パスタをゆでて、カレールーを溶かして、という程度。料理をつくる、なんて程遠い暮らしをしてきた。
いま、料理をつくることそのものはもちろんだけれど、料理をつくる人や、道具、料理に対する姿勢などに関心を持つようになった。それは自分が「料理をつくれる人間」になりたいという想いが高まったのと同時に、仮につくれなくても、料理に携わる人の考え方を取り入れればもっと暮らしが楽しくなるだろう、という気持ちになったからだ。
「人と料理」は、レシピ集というよりは、料理をつくる人にスポットを当てたインタビュー・フォトエッセイだ。料理と一緒に、そのつくり手の顔写真がドアップで映っている。たとえ料理は上手にいかなくても、人の考え方を真似したら、それだけで「料理ができる」と胸を張れそうな気がしてならない。