百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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すべての雑貨

すべての雑貨/三品輝起 夏葉社

 

「あたなが好きと言っている本は、本じゃなくて、雑貨じゃないの?」そう言われるシーンを想像する。ろくに読みもしないのに本棚に並べて、リビングでその背表紙が常に見える状態にして、それだけで悦に入っている。何か雰囲気をつくり出してくれるのではという期待だけが、その本に存在感を与えている。それを「雑貨じゃないよ、本だよ」と堂々と言えるだろうか。ルックス、見て楽しむこと、手軽に手に取れること、なども大切だけれど、読んで、世界を味わってこその本。そうやってきちんと反論できるように、本を手に取り、本を読もうと思う。

 

「すべての雑貨」は西荻窪の雑貨屋「FALL」店主によるエッセイ集。彼は世の中のものがみな「雑貨化」していると言う。豊かになってモノが増えたから、だけでなく、いままで雑貨と言われなかったモノが雑貨に見えるようになったから、というのがその理由。たくさんのモノに囲まれて暮らすいま、むやみに雑貨化したものであっても、本当の価値を見つめられるようでありたい。