又吉直樹には三つの顔がある。一つはお笑い芸人。一つは読書家。もう一つは作家だ。これは私の独断だけれど、たぶん同じように感じている人は多いと思っている。
その三つの顔がごちゃまぜになって、多動力をもった人間であることを充分に発揮してつくられているのが本書だと思う。イラストレーターのヨシタケシンスケ氏との共著だ。ある国の本好きの王様が「二人の男」に、めずらしい本について語って聞かせよと言う。二人は「めずらしい本の話」を探す旅に出て、そこで得たことを王様に話して聞かせるのだが・・・。「もしもこんな本があったら」大喜利のようなコントのような、お笑い芸人の彼らしい、思ってもいない方向からアイデアが飛んでくるような、そんな本だ。ヨシタケシンスケのイラストも可愛らしくて、ただ眺めているだけでも楽しい。