若松英輔の詩集のなかでも、特にタイトルと詩の内容との強烈な結びつきを感じた1冊。自分にとっての「幸福論」とは何かということが、冒頭の4つの詩を読んで心に刻まれたように感じた。「余白」「多忙な人」「幸福論」「鞭を打つ」。この4つの詩を、声に出してゆっくり読んで、心に到来したものを味わっただけで、この本を手に取った価値があったと思った。忙しくあろう、自分に鞭を打ってより行動的であろう、としていた自分がどれだけ愚かだったか。
世の中が
仕事と呼ぶものに
心を
奪われては いけない
(多忙な人)