百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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職業としての学問

職業としての学問/マックス・ウェーバー三浦展訳 プレジデント社

 

大学職員をしている仕事柄、学生に触れることが多い。夜も遅くまで自習室にこもり、静かに勉強をしている。そういう学生がたくさんいて(自分も学生時代はそれなりに学習していたと振り返る)、その成果が将来の社会の成熟に役立つのだと思うと、大学がものすごく有意義な活動をする場であることを痛感する。ではそこで学生を指導する教員はどのようなモチベーションで取り組み、どうやって経済的に自立させているのだろうか。最近はそんな「現実的なこと」を想う。

 

「職業としての学問」は、ドイツの社会学マックス・ウェーバーが、戦後の混乱期の中で若者に向けて行われた講演での言葉をまとめたもの。100年以上前に既に語られていた若者への激励は、今の時代を生きる自分たちにも共通して役立つだろうと、見出しを眺めただけでも分かる。ドイツにおける学者の経済事情に触れつつ、そうした情勢でもなお学び続けてきた先人があって今の自分をとりまく社会があるということに気づければ、学びに対する視界がぱっと開け、知的好奇心がわいてくるのが分かるだろう。