百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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ホントのコイズミさん WANDERING

ホントのコイズミさん WANDERING/小泉今日子 303BOOKS

 

本を読むことで得られる「うまみ」の大きな一つは、そこで学んだことを実行することで自分なりの「経験に裏打ちされた実績」を作れることだと思っている。ああ、そういう考え方があったのか、と驚くだけではあまりよくなくて、じゃあ自分も試してみよう、と行動に移すことが大事。結果、自分には合わなかったな、ということも当然あるのだろうけれど、それでも「自分に合わなかった」という事実を学ぶことができる。読書が安くてリターンの大きい投資と言われる所以はここにある。

 

「ホントのコイズミさん」は、人生の傍らに常に本があったという、本好きの小泉今日子さんがパーソナリティを務めるSpotifyポッドキャスト番組。その番組の書籍化である本書は2冊目で、私がひと箱本棚を持っている祖師ヶ谷大蔵の「BOOKSHOP TRAVELLER」が紹介されている。BOOKSHOP TRAVELLERの店主で本屋ライターでもある和氣正幸さんとの対談に登場する、本との出会いにまつわる体験談は理屈抜きで面白い。

 

ミヒャエル・エンデの「モモ」を愛読し、時間についてじっくり考えたという小泉今日子さんのエピソードが好きだ。「寝る時間が30分短くても、好きなことをしていた方が元気だな」と気づけたのは、彼女が実際に「30分多く寝るか、30分好きなことをして寝るか」、どちらが自分にとって快適かを実際に試して比べるという行動をとったから。少しでも休んでいる時間が長ければ良いかというとそうではなく、時間の感じ方が人によって違うのであれば、どう行動すれば元気かも千差万別。他人と比較することなく、自分にとっての「時間泥棒」は何かを見極めることが重要なのだろう。その見極めのきっかけを与えてくれるのが、読書だ。