百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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ここはおうち

ここはおうち/ぶん:谷川俊太郎 え:junaida ブルーシープ

 

いま自分が暮らしている家を、自分が住むだけでなく、他人と共有したい。そうした想いは少し前からあって、何かの折に実現させたいと思っている。その一つの形が、自宅に招待して本棚の本を自由に見てもらう、というものだった。いくつか心理的な問題があって継続できていないのだけれど、根本にある想いは変わっていない。それは、「自分が持っているものを自分だけが消費するのはもったいない。そのものの良さを生かしきれない。だから他人と共有し、そこから得られる利益を分け合いたい」というものだ。自宅招待ではなく何か別の形になるかもしれないけれど、手軽に所有物をシェアする取り組みが、できたらいいなあと思う。

 

「ここはおうち。わたしのおうち。だけど、みんなのおうちでもある」。喜びを他者と分かち合うことの素晴らしさを、一冊にまとめたという点で、自分の想いが凝縮された傑作絵本が誕生したと思っている。誰もが、気兼ねなく「わたしのおうち」に友達を招き入れられるようになったら、そしてその喜びを、子どもの頃に知ることができたら、社会はもっと優しく、おおらかな方へ向かうんじゃないかと本気で思っている。

 

女の子がいろいろな所へ出かける。その風景を細かく注視していると、面白いことに気づける。言葉をゆっくり咀嚼するのはもちろん、絵を凝視するのもオススメです。