百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

世界

世界/junaida 福音館書店

 

自分という一人の人間が、生まれて、生きて、果てるまでの間には、膨大な時間が流れていて、膨大な人間同士の交流があって、膨大な数の物語がある。当事者の目線で、目の前のことだけに一生懸命でいたら、つい見落としてしまいそうな出来事も、実は大きな世界の中で奇跡的に生まれたことだということが分かる。その瞬間は、自分を変え、新しい自分を形づくる画期的な出来事のように感じられるものも、長い目で見たらほんの一瞬で、数年後には実は何の影響も及ぼさない些細なことだった、ということもあるだろう。

 

junaidaの言葉のない絵本「世界」からは、そんな壮大な時間の流れを読むことができる。王冠をかぶった男をとりまく環境が、ゆるやかに、かつ大胆に変化していき、やがて壮大な世界が可視化される。あの時の出会いは、今の自分にどんな成長をもたらしてくれているのか。今の自分に備わっている人間関係は、この先どう変化していくのか。そうやって過去を振り返ったり、未来のことを想ったりするのも、今の有意義な時間の使い方ではないだろうか。