百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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苦しかったときの話をしようか

苦しかったときの話をしようか/森岡 毅 ダイヤモンド社

社会人になってから16年以上通い続けている美容院で、本好きのマスターからすすめられ、手に取った。USJの再建に貢献した経営者が、自身の娘に「働くことの本質」を伝えるための手紙だ。働くとはどういうことか、なにをどう意識して働くのが良いかを、ゆっくりていねいに語っている。

 

ビジネス書の類は、社会人になりたてのころこそ貪るように読んでいたけれど、最近はほとんど手から離れていた。そうした中で本書を紹介され、読んでみて、改めて一から働くことの本質はなんだろう、と考えるようになった。

 

最終的には、今の君の精一杯の価値観で、君が「軸」を決めるしかない。そしてその価値観も軸も、君がさまざまなことを経験していく近い将来で変化するかもしれない。いや、きっと変化するだろう。それでいいのだ。君の価値観が変化したら、またその時点での君のベストの軸に合わせてキャリアをアップデートすれば良いだけだから。最初から最後まで変わらない1本の価値観と軸のベクトルの上で、揺るがないキャリアを生きている人は、ほとんどいないと思う。経験とともに、ライフステージとともに、最も大切なものが変わることがある。だから未来に「軸」が変わることは全く恐れなくていい。

 

自分に「軸」がなければ他者と差別化できず価値あるものを発信できない。そしてその軸は未来永劫変わらない方が良い。私はずっとそう思ってきた。しかし今はそうではないと言える。変わって当たり前。それは過去の自分を否定することではなく、過去の自分を受け入れて、それに今日までの経験値を「上塗り」して厚みを出すことだ。そうすることで過去と違う立場もとれる複雑な人間になる。それが私にとっての、成長だ(※)。

 

(※)

sarusuberi-to-taiyo.hatenablog.jp