百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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即答すること

身体の言い分/内田樹 池上六朗 毎日新聞出版

 

即答力/松浦弥太郎 朝日新聞出版

 

場合にもよる、という曖昧な条件付きではあるが、なるべく「即答すること」を自分に課している。どんなに時間を費やして考えても結論は変わらないだろう、というなんとなくの感覚は、誰もが持っているのではないだろうか。そのなんとなくという感覚を、大事にすべきなのだろうと思う。冷静に考えた結果下した判断が正しくて、「あの時即答しなくてよかった」と胸をなでおろすことも確かにある。けれど、即答したことで感じる達成感と、そのスピード感によって行動に弾みがつくような感覚は、逡巡した結果判断したのでは味わえない。

 

「身体の言い分」のなかの、特に「チャンスは向こうからやってくるもの」という話が大好きで、何度も繰り返し読んでいる。就職活動をする大学生は、自分にとっての天職を探すために自らの適性を探るけれど、本当は順番が逆である。まず仕事をする。仕事をすることで、自分が何に向いているのかが事後的に分かる。自分から「これをやらせてください」という順番ではない。だから、自分がやりたいかどうかは関係なく、他人から「ちょっとこれ、手伝って」と言われた時に、「はい、やります」と即答することが大事なのだ。そのことを知って、自分の仕事観が揺らいだ。「待つ」というと、どちらかというと消極的な印象を持っていたけれど、そうとも言えないのだ。

 

他者からの「ちょっと手を貸して」という声を受けて、パッと手を出す。こうして他者を助けることで初めて、「他の誰でもない自分」の存在意義が立ち上がる。それこそが生きがいなのだと思った時に、自分本位ではなく他者目線で行動することと、即答することの重要性を実感した。

 

そして、即答するためには、普段から準備が整っているということが重要。普段から良い習慣を続けることで、チャンスがやってくる可能性を高めつつ、いざチャンスがやってきたときにそれを見逃さずにつかみ取る、そのセンサーを磨かなければならない。即答する準備としての習慣の重要性を、「即答力」を読んで学んだ。