百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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底抜けに前向き

ゆきのゆきちゃん/きくちちき ミシマ社

 

きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ/荒井良二 NHK出版

 

3月は卒業、別れの季節。そして4月は入学、進学、新任、出会いの季節。私自身、そういった年度末・年度始まりの節目があいまいになって、いつも通りの日々を過ごすようになってだいぶ経つけれど、それでもなぜか、少しだけ新鮮な気持ちで4月を迎える。

 

本を扱う仕事をするようになってなおのこと、絵本に関心を持つようになった。今は、大人が読んでも感動でき、胸に秘めておくべき言葉に出会える絵本がたくさんある。そのうちの2冊を紹介する。いずれも、自分自身を肯定し、自分の進む道を肯定する、「底抜けに前向きな」絵本だ。新年度を新鮮な気持ちでスタートするためのお供にぴったりの絵本だ。

 

「ゆきのゆきちゃん」は、「ゆき」という名前の猫が自分の名前の由来を友達に尋ねてまわるストーリー。りすの友達が「ふわっとしているから」と言えば、「ほんとだ ほんとだ でも りすも ふわっと してる」と言ってはしゃぎ、ふくろうの友達が「きれいだから」と言えば、「でも ぼくも きれい りすも きれい」と言って遊びまわる。他者を無条件に認め、喜び合うという姿勢は、何も子どもだけでなく、大人だって必要なのではないか。

 

「きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ」も、前へ進もうとする主人公に自信がみなぎっているのを感じる絵本だ。「おめでとう みんな おめでとう せかい」目の前の人から視点を広げて、世界に向かっておめでとうと言祝ぐ姿勢は、自分に自信がなく、自分の中にある殻に閉じこもっていてはとることができない。自分で自分を認めてあげないと、「どこまでだってはしれる」なんて底抜けに大きな自信をもつことはできない。