百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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夢の文房具屋

ボールペンとえんぴつのこと 銀座の小さな文具店/宇井野京子 木楽舎

 

エノグ屋の言葉集 月光荘のユーモアカードと色ポエム/月光荘 産業編集センター

 

このブログで何度か書いているけれど、私にはひとつ実現させたい夢がある。それは「文房具屋」をつくること。独立したお店でなくても良い。本屋として本を紹介する傍らで、こだわりの文房具もさらっと差し出したい。鉛筆、ボールペン、定規、ノート、一筆箋、ポストカード・・・。何か言葉を書いて他人に贈ったりするときのお供として、文房具はいつも自分の身近にある。相手に何かを伝える、そのための「道具」としての文房具に、愛着をもつことができたら、それだけで心にゆとりが生まれないだろうか。「愛ある文房具」世の中にはそれがたくさんある。そのことを、伝えたい。

 

前職で「月光荘を知らなかったのか?周りを見てみろよ、スタッフが持っている手帳は月光荘だぞ」と言われて恥ずかしい思いをした。銀座にある「月光荘」。画材屋と言った方が近いか。初めてお店に行った時の感動をいまでも覚えている。6Bの鉛筆も素敵だし、鉛筆削りもかわいらしいけれど、特にいいなぁと思ったのが、ユーモアカードだった。「只今密談中 面会謝絶。」「私の心はあなたでいっぱい。ほかになんにも入りません」どきっとするような言葉とイラストが描かれたポストカードを何枚か買い、さて誰に贈ろうかと悩んだ。

 

銀座にはもう一つ、「五十音」という小さな文房具屋があるという。ここにはまだ行ったことがない。鉛筆、ボールペン、万年筆・・・。さまざまな「書く道具」が写真とエッセイとで描かれている本が、「ボールペンとえんぴつのこと」だ。「小学校の同じクラスにいたその男の子には、鉛筆を食べる、という噂があった。」そんな言葉にドキリ。食べる、つまりかじり取って飲み込むまではいかなかったけれど、かじってしゃぶって、木のエキスを味わうくらいは私もしていた。ガキは皆一緒なんだな、と安心した。

 

世の中には知っても知り切れないほどたくさんの文房具がある。それぞれに、愛着を抱かせる仕掛けがある。そのことを文房具屋さんは教えてくれる。私は本屋に行くのと同じくらい、文房具屋に行くのが好きだ。文房具屋でいろいろな文房具を見て学び、自分の力で小さな文房具屋「ミエナイイト」(※)を展開することを、目標にしている。月光荘と五十音。銀座の二つの文房具屋の物語を知り、その想いをさらに強くした。

 

(※)

sarusuberi-to-taiyo.hatenablog.jp