見えないものに、耳をすます‐音楽と医療の対話-/大友良英・稲葉俊郎 アノニマ・スタジオ
体調を崩して入院していた時、傍らに置いていたのが、医師である稲葉俊郎さんの本だった(※)。身体の一部分を見るのではなくて、全体を見ること。身体の全体性を取り戻すこと。不調な身体と対峙したときにはじめて、一見無関係と感じるかもしれない細かなサインを見逃さないこと、関連性を検討することの重要さを実感した。
大友良英さんは音楽家。「あまちゃん」の音楽を手掛けた彼の音楽から私は、底抜けの「明るさ」「気楽さ」「楽しさ」「嬉しさ」のようなものを感じた。そういえば好きなバンドの好きな曲のなかでも、そういった空気を感じる曲は突出して好きだなぁと感じる。私の身体はたぶん、そういった曲を欲しているのだと思った。
その二人の対談。医師としての仕事に信念をもって取り組みつつ、それとは別に(職業とは別に)「芸術」に携わり続けたいと考えている稲葉氏が、「音楽で食べて行こうと積極的に思ったというより、それ以外をしたくなかった」という大友氏から学ぼうとする姿勢。逆に大友氏が早熟の稲葉氏から感銘を受ける姿勢。その両方が感じられて、読みながら刺激を受けている。
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