百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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子どもの特技、子どもの力

空を飛びたいルーカスと世界でいちばんたかい本の山/作:ロシオ・ボニージャ 訳:中井はるの アチェ

 

ララのまほうのことば/作:グレーシー・ジャン 訳:やのあやこ 工学図書

 

約20年前。新卒で就職した建設会社で現場研修をしていたときのこと。現場事務所に毎朝7時頃に出勤して、所長と主任がやってくる前に簡単に掃除をするのが日課だった。早く早く。早起きの主任に見られる前に。当時、褒められるのを期待することなく、いつのまにか終えていたという状況にしたいという自分なりの美学みたいなものが、確かにあった。変な美学だけれど、20年経つ今もひそかに抱えている。今も掃き掃除が好きなのは、その時のおかげかもしれない。

 

「空を飛びたいルーカスと世界でいちばんたかい本の山」は、読書を通して空想の旅をする少年を描いた絵本だ。空まで積み重なる本の山が、本を読むことで得られる知識や知恵、喜びの比喩のように思える。本を読もう。そうすれば空を飛ぶことだってできる。空を飛ぶことを夢見る少年の没頭ぶりから、小さい子どもの底なしの集中力というか、想像力の豊かさを、感じることができる。「夢中になること」は、子どもの特技だと思う。

 

「ララのまほうのことば」は、ある「おともだち」と毎日あそぶ女の子の話。どろだらけになるまで遊ぶおてんばの女の子には、秘密の場所があった。そこでの「まほうのことば」が、不思議な力をもって女の子に返ってくる。これも純粋無垢な女の子の想いが結実して奇跡を起こすという物語だ。女の子の一途さにも脱帽するけれども、その女の子の想いを汲んでほめるお母さんの懐の深さも、注目に値する。

 

子どもには、大人の想像を超える大いなる力がある。そう思わずにはいられない。