稲葉俊郎「いのちを呼びさますもの」を繰り返し、電車内で読んでいる。心に残り、下線を引いたページの言葉を、繰り返し。
自分がやっていることは本当の意味で相手のためになっているのか、独りよがりの自己満足ではないのか、相手の依存心を強めてしまい、その人の生きる力を損なっているのではないか、相手の人生を本当に尊重できているのだろうか、他にもっといい選択肢があったのではないか・・・。けれど、日々の膨大な診療の合間では、立ち止まってばかりもいられない。その問いは先送りされ、心の奥底に抱きかかえたまま、日常の診療に戻ることになる。
これは自分の仕事に置き換えても言えることだと思う。良かれと思ってやった仕事がクライアントの快適に結びついているか。その場しのぎで、相手の依存心を強めていないか。著者と同じ問いを自分に向けながら、これが答えだと断言できないまま仕事を続けている。