百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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8人はこうして建築家になった

Next Architect 8人はこうして建築家になった/遠藤秀平 編 学芸出版社

 

何度も文字に残してしまっていることなのだけれど、大学時代に建築設計者の道を断念した。鮮やかな挫折だった。これは一生勉強しても無理だ、と思った。だから建築業界である建設会社に就職しながら、職種は営業職を選んだ。設計はできないけれど、そのかわり設計スタッフにも施工スタッフにも仕事を与える営業をやろう。そう考えた。

 

その後、設計事務所に転職して携わったのは、やはり営業的な企画業務。設計は設計スタッフにお願いした。餅は餅屋だ、と自分に言い聞かせ、設計できない自分を正当化した。じゃぁ自分にとっての餅は何だ、と自分で突っ込みたくなる。

 

自分で設計ができない代わりに、設計者の思想を読んで、取り込んで、頭に描こう。その想いで、建築家の言葉をまとめた本を手に取った。本書には8人の建築家がどうやって建築を志したか、とか、どのような信念で実務経験を積んできたか、とかがインタビュー形式で綴られている。ひとつの設計事務所に10年以上勤務し、修行を積んだ人もいる。就職せず、誰からも影響を受けずに建築に取り組んできた人もいる。八人八様の建築への向き合い方を参考にしながら、どうにか自分だけの軸をつくれないだろうか。そんなことを、挫折ののち17年経ついまも、考えている。