百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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三角スケール

 

 

建築設計に関する仕事をしているのだ、と自分をアゲてくれるのは、昔から小さな道具だった。その最たるものがこの三角スケール。「建築士用」と書いてあるから余計に、自分を奮い立たすのだろう。

 

画材屋さんに行けばシャープでお洒落なデザインのものも見つかるけれど、私は昔からずっと写真のものを使っている。いつ買ったのかは正直覚えていない。大学生の時なのだろうか。社会人になってから自分の意志で買った記憶がないんだよな・・・。

 

三角スケールは、異なる6種類の縮尺が刻まれているスケール。状況に応じてコロコロ回転させながら使う。三辺の中心にある溝の色が三か所全て異なるというのも、きれい。1/50は赤だから・・・なんて思いながら回転させるのも面白いだろうが、色と縮尺数字の関連はあまり頭に入っていない。もっと使いこなさなければ。

 

建築家になりたいという夢は大学生の頃、そうそうに潰えた。いまはもうそんな高望みはしないけれど、この三角スケールを手にしている限りは、建築の知識を忘れずにいられる気がする。そうすればその知識を、実務としての設計ではなく、もっと広義の、暮らしの質を向上させるためのサービスで役立たせられるではないかと思っている。