建築家・中村好文の「普段着の住宅術」を読んで、大テーブルの良さを再認識した。イタリアでは「フラティーノ」と呼ぶらしい。「フラ」は修道士。「ティーノ」は若い。修道院の大テーブルを磨くのは若い修道士の役割だったからその名がついたという。住宅の中心にフラティーノがあれば、家族が集う。食事や団らんはもちろん、パソコン作業だって読書だって、アイロンがけだってできる。多目的性を包み込む道具たる大テーブル。もしそれがあったら、壁面本棚に誂えた机さえ要らないんじゃないかと思い立ち、ノートパソコンをダイニングテーブルに移し、棚におさまらず本の上に積んでいた本を机に並べてみた。ダイニングテーブルをフラティーノ化するのだ。いまこの日記はダイニングテーブルで書いている。これはこれで良いのだけれど、気づいたことが二つある。机をつぶしたことでわずかな罪悪感が芽生えた。そして、フラティーノと呼ぶにはわたしのダイニングテーブルはちょっと小さい。