百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

天使日記

f:id:bibbidi-bobbidi-do:20220129170019j:plain

f:id:bibbidi-bobbidi-do:20220129170047j:plain

天使日記/寺尾紗穂 スタンド・ブックス

 

本屋さんとして、本に書かれていることの良さを紹介することが本務である以上、こういう接し方は本当は良くないんじゃないかなぁと思っている。そのエッセイの内容はさておき、表紙の美しさに震え、佇まいにほれぼれして、とりあえず本棚に置いておくだけ。前作でそのきれいな文体を味わったから、きっと今作も前作を受け継いだ、清浄な言葉が連なっているに違いない。そんな期待感だけが、まだ読んでいない無粋な自分を正当化しようとしている。ダメだなぁ、読書ってそうじゃないよね、と思うのだけれど。

 

本書「天使日記」はまさにそんな本。金文字にざらざら感のある表紙がきれい。仕入れた新刊本に挟まれている書き下ろしエッセイを丁寧に開いて盗み見るように読んだ。彼女が手の届かない異国の世界にいる音楽家ではなく、たまに忙しく駆け回る一人の普通の女性だと知り、ほっとした。