新装版 ねこ書店/佐久間薫
渋谷ヒカリエ8階にある「渋谷〇〇書店」に初めて行った日、出版社のビーナイスさんの棚を眺めて手に取ったのは、ゆるい猫のイラストの漫画だった。著者自身による発行で新装版だ。猫と暮らすようになってから、猫の本が目に留まり、気になるようになった。
猫の「黒吉」と「白吉」が、本屋を営むおじいさんを手伝う「ねこ書店」が舞台。言葉を発しない猫二匹が人間と一緒に客商売をする様子はどこか非現実的で、でも違和感なく可愛らしさを感じる。驚いたのはストーリー展開。一瞬「書店ではこういう(あまり良くない行いをする)客、いるよねー」というような客が登場するのだけれど、そういう客を成敗するのではなく、その客が良い客になって終わる。「書店あるある」で悪者探しをするのではなく、平和に時間が過ぎていく。本当に楽しい。