百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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2021年10月29日

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雲ひとつない青空に向かって、工事中の建物を囲う足場が伸びている。頂上のタワークレーンが、いま建物が誕生する途中段階であることを示しているようだ。あのクレーンを見ると、社会人になりたてのころをぼんやりと思い出す。3か月間の現場研修。あの頃の必死だった自分をどこか象徴しているのが、タワークレーンのように思える。

 

14階建てマンションの階段の上り下りを繰り返し、20キロ体重を落とした。お前はなるべくロングスパンリフトを使わず、資材を搬出入する職人に譲れ。現場所長にそう明確に言われたのか、それとも自分で自分に課したのか、よく覚えていない。気づいたら15年が経っていた。