百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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街場の大学論

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街場の大学論 ウチダ式教育再生/内田樹 角川文庫

店主所有古本につき折れなどあり 気に入ってくださった方には500円(税込み)でお譲りします

 

尊敬する内田樹さんの教育論。朝日新聞社発行の単行本「オオカミ少年のパラドクス」を改題して文庫化したもので、大学教育に関して論じたテキストを集めている。

 

個人的には、特に大学の「教育」について論じている著者が好きだ。「教育とは『おせっかい』である」という言葉は強くわたしの胸に残っている。学ぶ側がいようがいまいが教える人(おせっかいする人)がまずいて、そのあと積極的に学ぼうとする人が現れる。そのことばに大学時代に出会っていたら、自分の学ぶ姿勢も変わっていたかもしれない。

 

本書の「「国民総六歳児」への道」を繰り返し読んで、自分がその六歳児的思考に陥っていないだろうかと不安になる。また、ここで論じているような、学ぶことができない子どもが増えている責任は子ども自身にはなく大人の責任である、という著者の主張に甘えて、「自分が無知であるのは自分のせいじゃないんだ」と開き直ったりする。しかし本当はそうではいけない、とも思う。

 

自分が無知だと知ることが大事であるとソクラテスが言うように、自分には知らないことがたくさんあると思い知ることが教育の効果である。そのことをこの本で教えられ、これまでのように「知ったことを誇示するための勉強」をするのではなく、より広く深く、いまからでも学んでいきたいと思った。