百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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紅茶を注文する方法

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紅茶を注文する方法/土屋賢二 文藝春秋

 

このタイトルからどんなひねったエッセイが展開されるのだろうかとワクワクしながら読むと、その言葉の通りの展開にびっくりする。そしてどこまでが本当でどこからが誇張なのか良くわからない、もしかしたら全て本当なのかもしれない(そう思わせておいて本当は違う巧妙な謙遜なのか?)。

 

お茶の水女子大の哲学教授のこの抱腹絶倒エッセイは、いま自分が抱える蔵書の中でも最も古く、まだ自分が自分のお金で本を買う習慣がほとんどないころに手にした貴重な本だ。朝日新聞朝刊のテレビ番組表裏の4コマ漫画「ののちゃん」(当時は「となりの山田くん」だった)に登場する教頭先生が表紙に描かれていて、気になった。決して著者ありきのきっかけではなかったけれど、パラパラとページをめくって読んだその内容があまりにも面白く、帰宅して読みながら爆笑したのを思い出す。当時何を思ったか、特に面白いテキストに黄色い蛍光ペンでアンダーラインまで引いている。

 

そして20年弱経つであろういま、これを読んでまだ爆笑できるのだから、エッセイの力はすごい。表題の「紅茶を注文する方法」のほか、「合成の誤謬」「大人の味」「さくらももこ効果」「編集者からの電話」など、ぜひ一人でも多くの人に読んでもらい、その面白さを共有したい。