塔の絵本/絵・文 田中映縭子 ビーナイス
人間よりも長い時間、そこにあり続ける建物。自分が人間である以上想像しえない、何か大いなるものを、その塔に見出す。平和を祈り、昔も今も、そこにずっとあり続けることを願う。塔はその役割を担っている。誰の心にも、きっとそうした塔があるのだろう。
本書は、塔に励まされて生きる人の心を映したような詩と絵が特徴的な絵本だ。建築の仕事をしていた頃。自分が実はそうした建物をつくることに携わっていたのかもしれない。人の心に安心をもたらす営みを、気づかないうちにしていたのかもしれないと思ったら、いま、自分が身体や頭を動かして仕事をする、それ自体が尊いもののように思える。