百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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騒がしい毎日だと魂の世話ができない

静寂とは/アーリング・カッゲ:著 田村義進:訳 辰巳出版

 

美しいとき/若松英輔 亜紀書房

 

「静寂」という言葉を好きな言葉として意識したのは、アーリング・カッゲの「静寂とは」を読んだ時だった。ただ周囲が静かな環境に身を置くことだけを考えるのではない。どんな状況でも自分で静寂という境地をつくり出すことができる。そう考えたら、自分も日常に余裕、ゆとりをもって、心を穏やかにして、自ら静寂をつくり出すようにしよう、と強く思った。

 

エッセイストとしても、詩人としても大好きな若松英輔さんの新しい詩集「美しいとき」を読んだら、頭の中に自然と浮かんだ言葉が「静寂」だった。「たましいの世話Ⅱ」という詩に、このような言葉がある。

 

騒がしい

毎日も

困ります

いちばん大切な

魂の世話が

できなくなるので

 

毎日

少しだけ

心の声を聞く

そんな時間まで

わたしたちから

奪わないでほしいのです

 

心を落ち着かせ、自分の心の声を聞く。そんな時間が大切であり、それを与えてくれるのが詩であり、静寂という心持ちだなのだと思う。