静寂とは/アーリング・カッゲ:著 田村義進:訳 辰巳出版
「静寂」という言葉を好きな言葉として意識したのは、アーリング・カッゲの「静寂とは」を読んだ時だった。ただ周囲が静かな環境に身を置くことだけを考えるのではない。どんな状況でも自分で静寂という境地をつくり出すことができる。そう考えたら、自分も日常に余裕、ゆとりをもって、心を穏やかにして、自ら静寂をつくり出すようにしよう、と強く思った。
エッセイストとしても、詩人としても大好きな若松英輔さんの新しい詩集「美しいとき」を読んだら、頭の中に自然と浮かんだ言葉が「静寂」だった。「たましいの世話Ⅱ」という詩に、このような言葉がある。
騒がしい
毎日も
困ります
いちばん大切な
魂の世話が
できなくなるので
毎日
少しだけ
心の声を聞く
そんな時間まで
わたしたちから
奪わないでほしいのです
心を落ち着かせ、自分の心の声を聞く。そんな時間が大切であり、それを与えてくれるのが詩であり、静寂という心持ちだなのだと思う。