百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

あえて選んだせまい家

あえて選んだ狭い家/加藤郷子 ワニブックス

 

「あえて」狭い家を選んだりはしていない。社会人になり、独り暮らしをするようになって以降、住んできたアパートを振り返って思うのは、そのことだ。広々とした住まいで暮らしたいという欲望がそもそもないのかもしれない。掃除が大変だし、そんなにモノはないし。使わない場所ができるのもムダだし。16~28㎡の1Kにずっと落ち着いてきた。

 

ただ、家族ができればそんな暮らし方もできないだろう、とは思っていた。自分がやりたいように行動するだけでは生活できない。そう思っていたところで、30㎡の普通のワンルームマンションに住む夫婦の話を知った。衝撃的だった。30㎡のワンルームに夫婦二人で生活できるのか!と。しかも大きな丸テーブルをどかんと置いちゃって。

 

本書は30~59㎡の比較的小さい家に暮らす人にスポットを当てている。都内で35㎡の戸建を新築して夫婦二人で住む、というものもある。「あえて」狭い家を自ら選んだんだ、なんてカッコいい理由は私にはないけれど、小さい空間で、持つモノも限定し、必要・不要のメリハリをつけて暮らす。そのためのヒントがたくさんちりばめられている。