百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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書物としての宇宙

書物としての宇宙 明治大学公開文化講座/明治大学人文科学研究所編 風間書房

 

神保町に新しく棚貸しシェア本屋「PASSAGE」がオープンした。最近でこそよく聞くようになった棚貸し方式の本屋、その中でどうやって差別化しているのだろうと思っていたら、鹿島茂氏による書評サイト「ALL REVIEWS」が運営しているという。書評家たちによる独自の本棚が並ぶということで、他の棚貸し本屋とは違う空気が流れているに違いない。古本の街と言われている神保町にあまり行くことがないのだけれど、近く訪問したい本屋だ。

 

その鹿島茂氏の「コレクションとしての本」論を、公開講座のテキストを通じて学ぶ。コレクションとは、「この世に存在するものを集めて存在しないものをつくりだす」ことなのだという。何かを集めようと思っているときの心理状態を振り返って、確かにその通りだ、と驚いた。ひとつひとつはもちろんこの世に存在するものだけれど、それを集めることで生み出そうとしているものは、既製品でない、自分だけの宇宙のようなものだ。鉢植えの小さなサボテンにしても、腕時計にしても。そして本にしても。目の前の本棚に並ぶ本のコレクションはこの世に二つとない価値あるものだ。そう思いたいという気持ちが、人に本を集めさせているのかもしれない。