大人になってからも、日々勉強。毎日が勉強。もっと若い学生の時にそのようなことを言っていたら、きっと周囲から「お前は真面目か」と冷笑されたのではないか。おれなんか全然勉強してないや。そうやって「勉強に時間を割いていない」自慢をしていた当時の空気を振り返る。あの、真面目に勉強しようとする想いが詰まれる空気の正体は何だったんだろう。いまならそんな空気に惑わされずに自分が学びたいように学ぶけれど、当時から自分の気持ちに正直に学びと向き合っていたら、より成熟した人間になれたのではないかと少し後悔している。
建築家としてというより、一人の「学び続ける人」として安藤忠雄の精神に触れると、自分のこれまでの学びの姿勢が生ぬるく感じてくるから悔しい。自ら学ぼう、疑問を解消させることに喜びを見出そう、という想いが途切れては生まれるのを繰り返しているのは、本を通して彼の気骨を取り込んでいるからだと思っている。