共有地をつくる わたしの「実践私有批判」/平川克美 ミシマ社
いま自分が持っている本を、自分が持っているだけではもったいない。そう思うようになったのは割と最近のことかもしれない。ただ自宅の本棚にあって、自分だけに対して「早く読めよ」とブツブツ言っている。この状態だと、自分が楽しむ分には良いのだけれど、どこか「宝の持ち腐れ」感が否めない。もっと自分以外の人の役に立ちはしないだろうか。自宅を私設図書館化させるような(でも「図書館」というと本を貸すことが目的化されるようでまたちょっとニュアンスが違うんだよな・・・)、そんなことをぼんやりと考えている。
そんな想いを後押しするような発想が、「共有地」をつくるということなのだと思う。モノを所有することをやめて、他人と共有する。そうすることで手に入ること、逆に手放して身軽になれることがある。
別に広くて、立派な場所じゃなくてもいい。使わなくなった椅子を、道往く人に休んでもらえるように自分の家の軒下に並べるようなものです。誰もが、自分が使わないものの所有権を解除すること。私有をやめること、そこから何か新しい生き方が生まれると思っています。
椅子をそっと差し出すような、そんなささいな気持ちで良いから、持っていたい。