ザ・プロフェッショナル 21世紀をいかに生き抜くか/大前研一 ダイヤモンド社
社会人になったばかりの頃、自己啓発書やビジネス書といった類の本をたくさん読まなければならない、と焦っていた。そうしなければいっぱしの社会人になれないと思っていたのだ。こうして片っ端から手に取った本のほとんどが、いまは手元にない。多くは引越のタイミングで処分した。しかし「もう一度きちんと読むかというと疑問だけれど、これは処分してはいけない気がする」本は確実にある。本書がそのうちの一冊だ。
久しぶりにページを開く。これを読んでいたころは本への労りなど一切気にせずどんどん下線を引いていた。その部分をいま拾い読みしても、大事だよな、その重要性を頭の片隅に置いているから今があるんだな、と思える。
あなたが成長するかどうかなど、実のところ、顧客にすれば、どうでもよいことなのです。あなたにすれば、失敗は成長の糧でしょうが、顧客にすれば、たまったものではありません。
顧客には、上司や部下の関係など、どうでもよいことなのです。そして、プロフェッショナルはいつも顧客のことを考えなければならないのです。
わき目もふらずその仕事に没頭できなければ、事業は成就しないのです。「自分にはこれしかない」とひたすら邁進できるのも、その仕事が好きなればこそです。そうしたこだわりを信念に高めていくことで、間違いなくビジネスの道は切り拓かれていきます。
二一世紀最大の敵は、すなわち保守性であり、成功体験であり、それらが生み出す過信です。