百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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&Premium 住まいを変えると、生き方が変わる。

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&Premium 69 2019.SEP 住まいを変えると、生き方が変わる。

 

自分の暮らしのスタイルを家に無理やり合わせるのではなくて、自分にあった家をつくるべきである。自由設計の住宅に惹かれた理由を端的に説明すると、この言葉に尽きるのだろうと思う。そんなことを大学生の頃から考えていたから、建築の勉強の中でも自由設計のコーポラティブハウスを企画することに憧れたし、社会人になってその仕事に従事することもできた。

 

しかしその考えもだんだん変わってきて、もっと柔軟になりつつある。自由設計の良さを否定するということではない。住まい等環境によって自分の暮らし方をコントロールできる方がむしろ楽だし自由だろう、というように。ちょっと極端な言い方をすると、自由設計でつくった家でしか自由な暮らしができないのだとしたら、それは逆に不自由ではないか。

 

「住まいを変える」。知らない土地に引越すのでも、新しく家を建てるのでも、いまの家をリノベーションするのでも良いだろう。住まいを変えるというプロセスの中で、いままで知らなかったことを知ったり、興味のなかったことに興味をもったりできる。本号で印象に残った「設計を通して家具に興味を持ったことから、仕事で建築家デザインの家具を扱うようになった」「庭づくりを通して環境問題を考えるようになった」というのがまさに好例である。わたしはこういう暮らしをするのだ!と頑なになるのではなくて、住まいづくりから得た刺激を素直に取り入れて自分を変えていくという姿勢。本号は、この考え方の逆転を暮らしの一事例として伝えてくれる。