僕の好きな男のタイプ 58通りのパートナー選び/松浦弥太郎 講談社
松浦弥太郎の「男の一流品カタログ」/松浦弥太郎 マガジンハウス
いままでの本との付き合い方を振り返ると、わたしにとって読書とは、言葉を通して「理想の男」になろうとすべく奮闘する行為だったのかもしれないと、ふと思った。どういう男になりたいのか。どこが理想の男の到達点なのか。そういった具体的なことはイメージできていなかった。しかし漠然と、他人を許せるおおらかな男でありたい、他人にやさしくできる男でありたい、何でも聞かれたらすぐに答えられる聡明な男でありたい、とは思っていた。そんな男になりたいから、身体が自然と本を欲するようになったのではないか。
小中高、大学生まで、ほとんど本を読まないで過ごしてきたから、社会人になったときに焦った。このままじゃいけない、とあわてた。そうやって手にした本は分かりやすいビジネス書で、それはそれで学ぶべきことはたくさんあったのだろうけれど、いま血肉になっていると実感できる教訓は、ほんのすこしだけだ。それよりも、「照れない男であろう」「想像力がある男であろう」「姿勢が良い男であろう」というように、将来の成長した自分をイメージできるようなエッセイに、いまは惹かれる。そして、自分にとって本当に大切だと言えるモノを厳選して持つ、ということも大事。贅沢をしろということではなく、一流と言われるものを見聞きして、そう言われる理由を考えることも大事。そうやって大きなオトナの男になっていけたらいい。