おなみだぽいぽい/ごとうみづき ミシマ社
小さいころ、なんだか無性に泣きたくなる時がなかっただろうか。わたしには、あった。昔から泣き虫で、他人がなんとも思わないことで涙が出てくることがあった。情けない男だった。とここまで書いて、別に子供の頃だけの話ではなく、社会人になってからも、涙もろい、弱い人間であったと気づいた。覚えているいくつかの泣いたエピソードは、とてもじゃないけど恥ずかしくて言えない。できることなら思い出したくない。
涙が出てきて、その涙がしみ込んだパンの耳を、鳥が食べてくれる。涙がしみたパンを喜んで食べる鳥を見ることで、なんだか救われる気がする。つらい出来事に遭遇し、泣きたくなった時、涙のパンを食べてくれる鳥のように、寄り添ってくれる絵本だ。