百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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建築を語る

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建築を語る/安藤忠雄 東京大学出版会

 

大学に入るより前のことだったんじゃないかなぁと、あいまいな記憶をたどりながら奥付を見たら、大学在学中だった。当時、建築を勉強していたわたしに父がくれた本だった。どういういきさつだったのか、本当に覚えていない。本書ともう一冊「連戦連敗」というオレンジの表紙の本があって、その2冊を確か、もらった。「連戦連敗」の方には著者のサイン付きの薄紙が貼られていたと思うのだけれど、もう手元にない。売ってしまったのか、なくしてしまったのか、覚えていない。親不孝者だ。

 

「建築を語る」は建築家・安藤忠雄東京大学大学院で語った講義をまとめたもので、タイトルの通り、氏が自身の建築をたっぷりと語っている。コンクリート打放しのクールな建物の写真を眺めてわたしは、建築への夢を膨らませていた。独学で建築を勉強し、確固たる地位を築いた氏の本を通して、父は、「そうやって生きろ」とまでは言わないが、がむしゃらに突き進めば仮に素養がなくても大丈夫、問題ない、というメッセージを伝えたかったんじゃないか。いまはそう思っている。