百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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コロナ禍日記

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コロナ禍日記/植本一子 円城塔 王谷晶 大和田俊之 香山哲 木下美絵 楠本まき 栗原裕一郎 田中誠谷崎由依 辻本力 中岡祐介 ニコ・ニコルソン 西村彩 速水健朗 福永信 マヒトゥ・ザ・ピーポー タバブックス

 

一時期、他人のコロナ禍の日々を綴った本なんて読みたくないよ、と思っていた。誰もが苦しんでいるこの状況だって過ぎ去ればあっという間で、「あの頃は大変だったなぁ(でもいまは何ともない)」という日がわりとすぐ来ると信じていたから、過去の産物となって読むに値しない、と自分から遠ざけていた。しかし状況はすぐには良くならず、慣れない生活スタイルを、長く強いられることになる。そうすると、こういう本で他人の境遇を知り、自分の活力へと変えることも必要だろう。そう思ってから、コロナ禍を正面からとらえた記録への抵抗がなくなった。

 

17人の書き手によるコロナ禍数か月の日記集。何でもない平穏な日の記録もあるけれど、胸を突くのはなんだか鬱々とした出来事。この本に封じ込められたそんな空気を、例えば数年後に読むことで吸ったときに、どう感じるのか。ひそかな楽しみでもある。