ヘルシンキに憧れる。出不精で、海外旅行に行きたいなんて柄ではないけれど、もし海外に行く機会があるとして、国を自由に選べるのだとしたら、フィンランドはその筆頭候補に挙がる。建築、家具、サウナ。つまるところ何がいいの?と聞かれるとちょっと困ってしまうのだが、北欧独特のセンスの良さ、居心地の良さそうな空気感は、一度体感したいと思っている。
「ヘルシンキ生活の練習」では、そんな憧れのヘルシンキでの暮らしを生々しく、当たり前の生活であるかのように淡々と綴っている。保育園に子供を通わせる一人の母親の暮らしそのものは、海外であっても、現実感のあるそれとして読み手の目を覚まさせる。