Over the Ocean/五味太郎 chronicle books
小学生くらいの頃、夏休みの家族のイベントと言えば、新潟の海に行くことだった。泳げないのに海水浴?いや、まぁ当時はそんなことはどうでもよく、砂浜で寝転んだり、海水にぷかぷか浮かんでいたり、海の家でラーメンやカレーを食べたりするのが楽しかったのだと思う。日に焼けて肌がひりひりと痛くなるのは嫌だったけれど。海といったら、その海水浴の思い出くらいしかない。
海の向こうにはどんな景色が広がっているのだろうか、なんて想いを馳せることはほとんどなくて、だからこうして絵本を見ると当時の記憶がよみがえり、そんな楽しみ方もあったんだなぁ、なんて後悔する。髪の長い女の子の目の前には水平線。そのアングルで統一された景色が前ページにわたって登場する。しかし海の向こうに見えるのは、動物であったり、夜空であったり、街であったりとさまざま。遠く彼方の風景が本当に見えてくるようで、不思議な気持ちになる絵本だ。