あたしとあなた/谷川俊太郎 ナナロク社
詩を書いたことはありますか？わたしはたぶんありません。学校の授業で書く機会があったのでしょうか。もしかしたらかじる程度のことはあったのかもしれませんが、いずれにせよ、記憶に残っていません。
詩を書く行為は限られた専門家だけができることだという思い込みを、若松英輔さんのエッセイを読んで払拭したのは、つい最近のことです。だから詩を書いたことがない、ということは正しいとしても、書けないということはない。そういうことなのだと今は思います。自分の想いを、容易に言葉にできない想いを、文字に託すこと。言葉にして初めて、自分がどのような想いを抱えていたのかを事後的に知るということ。それが詩を書いて読むことの醍醐味なのかもしれません。
「わたしとあなた」は谷川俊太郎の詩集。薄い青のページ紙をめくって読んで分かるのは、詩というのは読むのにコツが要るのではないかということ。すぐに意味を理解して心地よさに浸る、というのとは少し違うのですが、何度か読むと、そうそう、その言葉、というように、心に何かがストンと落ちて、きれいにはまるような気がします。
