百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

呼吸する身体

f:id:bibbidi-bobbidi-do:20211218115505j:plain

呼吸する身体 武術と芸術を結ぶ/坪井香譲 新泉社

 

「呼吸」という自分の行為を当たり前でないものとして意識したのはいつが最初だったろうか。生きるために欠かせない行為だけれど、何かと大事な別のものの比喩で使われる。例えば本を読んで言葉を生み出すこともそう。本を読んで言葉を蓄えて、書くことでそれを出力する。それは呼吸と同じである。充分に息を吐かなければ吸えないのと同じで、自分で言葉を出さなければ読んでばかりいても意味がない。若松英輔さんの本で知り、なるほどと思った。吸うことと吐くことは一体化している。呼吸とはそういうことだ。

 

「呼吸する身体」は武道家による身体論。高校生の時に一冊の本に出会ったことがきっかけで、身の回りのものが突然光をまとったような体験をする。それが何であるかを確かめるために合気道に出会い、修行を積んでいく。読書を通して体験した不思議な出来事と身体とはどう結びついているのか。これを読んで、その真相に近づきたい。