リサ・ラーソン作品集 パイ・インターナショナル
雑貨と呼ばれるものを好んで手にして、飾るようになったのは、ここ数年のことではないかと思う。子供の頃は、買ってもらったものや、親せきにお土産でもらったものなどを、特に何も考えずに部屋に飾っていたかもしれない。けれど社会人になり、「余計なものは買わない、置かない」精神をもってから、取捨選択をするようになった。おのずと「必ずしも必要でないもの」の筆頭である雑貨から離れ、殺風景な部屋を良しとしていたのが、一時期の自分だ。
一周して、雑貨もいいなぁと思うようになった。必要不可欠とは言わないけれど、あることでなんとなく気持ちが落ち着く。ぼんやり眺めてくつろげるのであれば、それでそのものの価値は十分あると感じるようになった。だから、その気持ちの延長でリサ・ラーソンのライオンの置物を見たときは、心の中の雫が一滴、心臓にポタンと落ちたような、よく分からないけれど心地よい感動を覚えた。
彼女はスウェーデン生まれの陶芸家。いまや、北欧のデザイン陶器といったらこれだと誰もが思うのだろう。寒い土地だからこその、身体だけでなく心をあたためてくれそうな可愛らしいルックスや素材感が、北欧の魅力を凝縮しており、日本人を魅了するのだと思う。