百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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紋の辞典

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紋の辞典/波戸場承龍・波戸場耀次 雷鳥社

 

昔、夕方放送していたテレビドラマ「水戸黄門」の、オープニングテーマがなぜだか好きだった。「人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る♪」諭すような歌詞もそうだけれど、「テン、テテテテン、テテテテン」というリズムに、地味だけれど心地よさを感じていた。だから、オープニングテーマだけ聴いて、本編はほとんど見ていない。最後に助さんと格さんが印籠を出す定番シーンだけが記憶に残っている。「この紋所が目に入らぬか?こちらにおわすお方をどなたと心得る。恐れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ」台詞まで覚えているくらいだが、繰り返すが、本編はほとんど見ていない。

 

「紋の辞典」を読んだ。雷鳥社の辞典シリーズで、空や星、海、草、色など自然のものが並ぶ中で唯一人工物である「紋」を紹介している。花や葉、蝶、錨、鈴など、身のまわりのものをモチーフにシンプル化された紋からは無限の連なりを感じさせる。知っているのはこれくらいか、と徳川家の家紋である三つ葵を見つけた瞬間に、「テン、テテテテン、テテテテン」というリズムが頭に鳴り響いた。