百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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2025年9月16日

 

「大丈夫ですか?」朝、職場の上司に挨拶すると同時に尋ねられた。先週体調を崩されていたので、隣の席であり、仕事上の会話も多くしていた私に例えば感染症が移り、週末を棒に振ってしまったのではないか、と心配してくださったようだ。

 

こういうときに、特に深く考えずに口をついて出る「大丈夫です。体が頑丈であることだけが取り柄なもので」とか、「なにぶん『馬鹿は風邪をひかない』を地で行く人間ですので」という謙遜(というか卑下)の言葉を、今日は声に出す直前でなんとか食い止めた。こういった類の言葉は、謙遜しているようで、自分の首を絞める結果になることに最近気づいたからだ。風邪をひかないことが唯一の長所ということは、何かの拍子に体調を崩した瞬間に「何の取り柄もない人間」になる。そんな悲しい呪いの言葉を、わざわざ自分に向ける必要もあるまい。実際、最近は不本意にも体調を崩すことが比較的多い。特定の強みを強調する代わりその他を下げるのは、もうやめようと思った。