百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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【#本屋ホント】エッセイには著者の『本当』が詰まっている

初めまして。こちらは「本屋ホント」というエッセイ専門の書店です。エッセイという形式の本だけを取り扱っています。それは、店主である私自身、エッセイが好きで、それを読むことでなんだか気が楽になったり、ただ時間が過ぎるのが楽しくなったり、つらいことがあっても「どうだっていいや」と思えたりするからであり、こうした体験をぜひ他の人にも味わってほしいと思うからです。

 

書店名の「ホント」は、「本当」です。カタカナにして、少し砕けた印象を持たせようとしました。エッセイには、その著者の「本当のこと」が詰まっている。著者の正直すぎるくらい正直な想いが吐き出されている。そう思うようになったのは、エッセイの中でまさにそう言っている本書に出会ったからです。

 

探してるものは そう遠くはないのかもしれない/新井見枝香 秀和システム

 

三省堂書店の書店員である著者による飾らないエッセイは、「どんな人でも、自らをさらけだす『正直な』文章を、書いて、発信することができるんだ」という勇気を与えてくれると思います。

 

エッセイの基本は共感。そうそう、あるある、超わかる。

しかしそれをそうそうと超わかった上で、私は本当のことを書く。

読む人の共感を想像して書くエッセイに、一体何の意味があるだろう。

エッセイほど本当のことが書いてある、書くことを許される文章はない。あくまでも、その人にとっての、その時の「本当」だが、これはどんなに仲良くしていても、血が繋がっていても、なかなか知ることはできない本当だ。

どれほど言葉をやり取りしても、傍で長い時間を過ごしても、その人が書いたエッセイを読む以上に、その人の本当に触れることは難しいような気がする。

少なくとも、私は知っている人が書いたエッセイを読んで、1から10まで思った通りだと思ったことはない。

もちろん、日記ではなく、人に読まれることを前提にしてい書いている文章なのだから、虚飾やサービスもあるだろう。

でも、見抜けるでしょう?そういうの、わかった上で読んでいるでしょう?

言葉通りでなくても、その人がどんな人で、何を考え、何に本人ですら気づいていないのか、エッセイを読む人は触れることができるのだ。

 

このようにエッセイの醍醐味を真面目に、的確に指摘しながら、家賃督促の電話という現実と対峙しています。こんな正直な書店員の「本当」に触れられるから、私はエッセイが好きなのです。