百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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あなたと、どこかへ。

あなたと、どこかへ。/吉田修一 角田光代 石田衣良 甘糟りり子 林望 谷村志穂 片岡義男 川上弘美 文藝春秋

 

熊谷の棚貸し本屋「太原堂」で店番をしていたある日、他の店主の棚を眺めていてふと目に入ったのが、この本だった。日産のセダン「TEANA」のスペシャルサイト発信の短編小説集。8人の作家による8つの愛の物語。ドライブの場面が登場する、心温まるストーリーだ。

 

社会人になりたてで独り暮らしをしていた頃、車が友達のような存在だった。いまではちょっと恥ずかしいけれど、オレンジメタリックのbBに乗っていた。目的地もなくただ走り回る、なんて言うくらい運転が好きだったわけではない。それでも、独りで座席に座ると自ずと心が落ち着いたし、気分次第でどこまでも行けると思っていた。よく無目的ドライブを楽しんだ。

 

そのマイカーを手放して、もう10年くらいになるのか?いまは車を持つ気はあまりないけれど、あの頃のことは忘れられない。短編小説に限らず、誰にでも、車と一緒に過ごす日の愛らしい物語が、きっとあるんじゃないだろうか。