ぼくらの家。9つの住宅、9つの物語/光嶋裕介 世界文化社
尊敬する建築家・光嶋裕介氏による、設計した9つの住宅にまつわるエッセイ。すべて彼によって書かれたものだが、語り手がすべて異なる。時にはクライアントの子供に。時には住宅の近くに住む野良猫に。そして時には建物自身に。さまざまな視点から、住宅がつくられるまでのストーリーが描かれている。
完成した住宅に意思を宿し、擬人化したこのエッセイから、「建物は生きている」ということが本当であることを教えられる。人が住まなくなった家がどんどん荒廃していくという事実からも、住む人が住宅に命を吹き込む、という表現が適していると分かるであろう。彼によって設計された住宅はすべて、強く生きている。